男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「はい、サイラス様。あなたが約束を果たしてくださる限り、私たちの契約が途切れることはございません」
合わさった唇同士が僅かに綻んだタイミングで告げる。
直後、サイラス様が弾かれたように口づけを解いた。
「サイラス様?」
ほんの少し冷静さを取り戻した目で仰ぎ見れば、摺りガラスみたいに色のない瞳をしたサイラス様と視線が絡む。
「興が削がれた。……政務に戻る」
サイラス様は苛立たしげに吐き捨てると、バサリとマントを捌きながら立ち上がり足早に戻っていった。
小さくなる彼の背中を見るともなしに眺めながら、まるで心が迷子になってしまったいたいに心細く寒々しい思いがしていた。
それでもひと度宵闇が主役となれば、この日も私たちは肌を合わせ、同じ悦びを共有した。しかし温かな彼の腕に抱き締められていても、心から虚しさがなくなることはなかった。
***
この晩も、俺はセリーヌと幾度となく同じ高みを臨み、くたりと力を失った細い体を腕に抱き締めて夢とうつつの狭間を漂っていた。
合わさった唇同士が僅かに綻んだタイミングで告げる。
直後、サイラス様が弾かれたように口づけを解いた。
「サイラス様?」
ほんの少し冷静さを取り戻した目で仰ぎ見れば、摺りガラスみたいに色のない瞳をしたサイラス様と視線が絡む。
「興が削がれた。……政務に戻る」
サイラス様は苛立たしげに吐き捨てると、バサリとマントを捌きながら立ち上がり足早に戻っていった。
小さくなる彼の背中を見るともなしに眺めながら、まるで心が迷子になってしまったいたいに心細く寒々しい思いがしていた。
それでもひと度宵闇が主役となれば、この日も私たちは肌を合わせ、同じ悦びを共有した。しかし温かな彼の腕に抱き締められていても、心から虚しさがなくなることはなかった。
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この晩も、俺はセリーヌと幾度となく同じ高みを臨み、くたりと力を失った細い体を腕に抱き締めて夢とうつつの狭間を漂っていた。