男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 前夜の情事の余韻を色濃く残す寝室で、彫像のごとく逞しい裸体に夜着を羽織っただけのサイラス様と寝台横のテーブルで向かい合って朝食に舌鼓を打つ。初めのうちは肉体的な疲労とサイラス様から溢れる色香にあてられて、とてもではないが食事が喉を通らなかった。
 しかし一週間が過ぎ、一カ月が経つ頃には彼の精悍な美貌に見つめられながら食事をすることにも慣れた。二カ月が過ぎようとしている今は、起きて一番に朝日に照らされた彼を見て、彼の手で抱き起こされて朝食の席に誘われることに喜びすら覚えるようになっている。
 きっと体と心は繋がっているのだろう。そして連夜の行為は否応なしに、私の心に彼への情を刻み込む。さらに私たちは濃密に体を重ねて温もりを分け合うばかりでなく、同じ物を口にして同じ感動を共有しながら多くの時間を過ごしている。こうした日々が、私の胸に情事で感じるのに勝るとも劣らない親密さを生じさせる。
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