男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません！

「おめでとうございます。セリーヌ様、ご懐妊にございます」
　この瞬間の歓喜を、俺は生涯忘れることはないだろう。
　一方で、新たな命を宿したと告げられてセリーヌが浮かべた、今にも泣きだしそうな不安げな顔もまた、俺は一生涯胸に刻んで生きてゆく――。
　生涯唯一無二と定めた愛するセリーヌに、懐妊に際しこんなに不安を与えてしまったのは偏に俺の不甲斐なさによるところ。連夜の行為の先に、この結果は十分に予想できた。……いいや。むしろ俺は、心の奥底でこの結果を望んでいた。しかし、本来であれば一番に考慮すべきセリーヌの心を置き去りにしてしまった。
　そのつけが、セリーヌの不安という形になって現れていた。
　言い訳にもならないが、連夜の行為は決して欲望を吐き出したいがためだけではなかった。俺にとって、セリーヌはまさに天上から降り立った女神――。