男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
第六章
サイラス様の大きな愛に包まれて、天にも昇る心地がしていた。
これまでずっと私を悩ませていた胸のむかつきや不快感が、スーッと消えていくのを感じた。代わりに胸が、喜びと期待感でいっぱいになった。
サイラス様の逞しい腕にすっぽりと横抱きにされ幸福感の中を揺蕩いながら、ふいに腹部へと手が伸びていた。
サイラス様の愛を受け、この身に宿った命。……愛しいと思った。
今はまだ平らな腹部、そこに息づいた小さな命が無条件に愛おしく切ないほどに尊い。
「ここに、サイラス様の御子がいるのですね……」
震える声で呟いたら、サイラス様が私の手の上に大きな手をトンッと重ねて腹部を柔らかに包み込む。
「俺の子というのも間違いではないが、この子は俺とセリーヌの愛の証。ふたりの子だ。ふたりで共に慈しみ、育んでいこう」
彼の言葉が熱く私の胸を焼く。じんわりと心の奥、深いところを震わせる。