男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 従者のお仕着せから、腹部を圧迫しないゆったりとしたドレスに装いを改めた私は、ダボット様とゼネダ様に頭を下げて謝罪を告げた。
「頭を上げてください! まさかあなたが女性だとは思いもよらず、本音を言えばとても驚いています。しかし、今の姿を見てしっくりきました。生家の事情についても、陛下より聞き及んでおります。セリーヌ様を責めるつもりなど毛頭ありません!」
 ダボット様は私の告白に驚きが隠せない様子だったが、言葉を尽くして必死に取り成してくれた。
「……ダボット様、ありがとうございます」
 ダボット様の思いやりあふれる言葉に、じんわりと胸が熱くなった。
「おい、ゼネダ。それにしたってお前は随分と冷静じゃねえか?」
 照れ隠しだろうか、ダボット様がワシワシと頭を掻きながら隣のゼネダ様に水を向けた。
「気づいておりましたから」
「なっ!?」
「え!?」
 ゼネダ様にあっさりと返されて、私とダボット様はポカンとした顔をして思わず顔を見合わせた。ゼネダ様はそんな私たちの様子にフッと口もとを緩ませて口を開いた。
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