男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
袖を濡らす朱色の滴りを認め、私は弾かれたように彼の腕を取った。
「なに、大事ない。刀を弾いた時に掠っただけだ。治療には及ばん」
「けれど念の……ぁ、ぅあぁっ!!」
念のために治療をと、そう続けようとした。しかし、腹部にドクンと突き上げるような痛みを感じ、言葉の代わりに声にならない呻きが漏れた。
「どうしたセリーヌ!?」
直後に下肢がビシャリと濡れたような感覚があった。
咄嗟に動いたのは、背中を向けて立っていた女性だった。
「破水しています! ドクトールが到着次第、すぐに診察を!!」
振り返るとすぐに私の状況を把握し、女性は声をあげた。女性の頭部から目深に被っていたベールはなくなっており、その顔が遮るものなく目に飛び込んできた。年齢を重ねて尚衰えぬ美貌だった。そしてその目鼻立ちは、サイラス様によく似ていた。
「ここから一番近い客間に運びましょう!」
女性は即座に羽織っていたローブを脱ぎ、私の濡れそぼつ下肢を覆い隠すように巻きつける。
「急ぎましょう!」
「分かっている!」
「なに、大事ない。刀を弾いた時に掠っただけだ。治療には及ばん」
「けれど念の……ぁ、ぅあぁっ!!」
念のために治療をと、そう続けようとした。しかし、腹部にドクンと突き上げるような痛みを感じ、言葉の代わりに声にならない呻きが漏れた。
「どうしたセリーヌ!?」
直後に下肢がビシャリと濡れたような感覚があった。
咄嗟に動いたのは、背中を向けて立っていた女性だった。
「破水しています! ドクトールが到着次第、すぐに診察を!!」
振り返るとすぐに私の状況を把握し、女性は声をあげた。女性の頭部から目深に被っていたベールはなくなっており、その顔が遮るものなく目に飛び込んできた。年齢を重ねて尚衰えぬ美貌だった。そしてその目鼻立ちは、サイラス様によく似ていた。
「ここから一番近い客間に運びましょう!」
女性は即座に羽織っていたローブを脱ぎ、私の濡れそぼつ下肢を覆い隠すように巻きつける。
「急ぎましょう!」
「分かっている!」