男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「サイラス様は目もとが私に似ているとおっしゃいます。だけど私はサイラス様の方にそっくりだと思うんです」
「そうね。どちらの特徴も継いでいるけれど、やはり私もセリーヌ様似だと感じるわ」
「そういうものですか。やはり、自分ではわからないものですね」
 皇子の話題を中心にしばし会話は弾んだ。そうして話にひと区切りついたタイミングで、セリーヌがスッと表情を引き締めた。
「……皇太后様にお願いがございます」
 セリーヌが皇太后を真っ直ぐに見つめて切り出した。
「私が陣痛で退出した後、サリー様に語った真相をもう一度聞かせていただけないでしょうか。おそらく、この一件がサイラス様の心にずっと暗い影を落としてきたことは、皇太后様もお気づきのことと思います。そして、サリー様に襲われかけた私には、彼女が凶行に及ぶに至った理由を知る権利があると思います。……ぜひ、聞かせていただきたいです」
 俺は、セリーヌに兄皇子らの不審な死とそれに纏わる内なる感情を吐露したことはなかった。しかし、言い当てられたからと驚きはない。
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