男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「父が息子らを殺めたというのか?」
低く唸るような俺の問いかけに、母は頷くことで答えた。
そしてひと呼吸吐き出してから、ゆっくりと口を開いた。
「私と先帝陛下の関係について、最初からお話します。……私と陛下の結婚は、双方にとって益のある契約だった。少なくとも、私はそう思っていたわ」
母が口にした『契約』の一語にドクンと鼓動が跳ね、全身の血が沸騰したように熱くなった。
「陛下との結婚で、私は没落した実家の立て直しが叶い、陛下は孫ほどに若い妃を手に入れた。そこに愛はなかった。けれど、実家を約束通り助けてくれたことに恩義は感じていた。だから執拗な陛下の求めにも、諦めと共に許容して拒まずに受け入れた。ところがそんな関係の中で生まれたあなたは、無条件に愛しかった。陛下への思いに関わらず、不思議なことに我が子というのはただ愛しい存在なのだとあなたが教えてくれたわ。私は充実した暮らしを謳歌した」
母はスッと表情を引き締めて、あえて己の感情を排除するかのように、淡々と言葉を紡いでいく。
低く唸るような俺の問いかけに、母は頷くことで答えた。
そしてひと呼吸吐き出してから、ゆっくりと口を開いた。
「私と先帝陛下の関係について、最初からお話します。……私と陛下の結婚は、双方にとって益のある契約だった。少なくとも、私はそう思っていたわ」
母が口にした『契約』の一語にドクンと鼓動が跳ね、全身の血が沸騰したように熱くなった。
「陛下との結婚で、私は没落した実家の立て直しが叶い、陛下は孫ほどに若い妃を手に入れた。そこに愛はなかった。けれど、実家を約束通り助けてくれたことに恩義は感じていた。だから執拗な陛下の求めにも、諦めと共に許容して拒まずに受け入れた。ところがそんな関係の中で生まれたあなたは、無条件に愛しかった。陛下への思いに関わらず、不思議なことに我が子というのはただ愛しい存在なのだとあなたが教えてくれたわ。私は充実した暮らしを謳歌した」
母はスッと表情を引き締めて、あえて己の感情を排除するかのように、淡々と言葉を紡いでいく。