男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「だけど陛下はそんな現状を不満に思っていたのね。体だけでは許してくれず、私の心を欲しがって段々と私の気を引く行動を取るようになった。正妃様と皇太子様を蔑ろにし、私とサイラスを目に見えて優遇したわ。サイラスを皇帝にしたいなどとは露ほども願ってはおらず、母子で平穏に暮らしてゆきたい私にとって、陛下の行動はただ煩わしいものだった。そんな陛下が億劫で、私は必要最低限の応対しかしなくなった。私の態度がますます陛下の行動を加速させて、その結果的は……あなたたちも知っての通りよ」
父からされる奇妙な優遇と、それにより他の妃らや兄たちから向けられるあからさまな敵意。その割には、ギスギスとした母と父。幼いながらにずっと不可解に感じていた。
俺は後宮の居心地悪さに辟易し十歳で軍に所属する決断をしたわけだが、聞かされて初めて違和感の正体に行き着いていた。
「幼い俺は、あなたが兄皇子らの葬儀で歪んだ笑みを浮かべているのを目にしている。あなたは父の凶行を知っていたのではないか? 知りながら黙っていたのか?」
父からされる奇妙な優遇と、それにより他の妃らや兄たちから向けられるあからさまな敵意。その割には、ギスギスとした母と父。幼いながらにずっと不可解に感じていた。
俺は後宮の居心地悪さに辟易し十歳で軍に所属する決断をしたわけだが、聞かされて初めて違和感の正体に行き着いていた。
「幼い俺は、あなたが兄皇子らの葬儀で歪んだ笑みを浮かべているのを目にしている。あなたは父の凶行を知っていたのではないか? 知りながら黙っていたのか?」