男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
もしかすれば、弟の名を騙りここに来るに至ったのには深い事情があるのやもしれん。ここで彼女が俺に真実を明かし助けを求めてくるのなら、俺は一切の責を問わず救済に手を尽くして――。
「此度、陛下の従者としてお仕えさせていただくことになりましたプロスペールの長男・セリウスと申します。誠心誠意、お仕えさせていただきます」
俺の内心の思いを割り、セリーヌは流れるように偽りの名乗りを口にする。耳にして、燃え上がる憤怒の炎がここまでなんとか繋がっていた理性の糸を焼き切った。
「ならば、さっさとその長ったらしい髪を切れ」
「え?」
低く唸るように告げれば、セリーヌは引き結んでいた唇を薄く開き、キョトンとした顔で俺を見返した。スッと引き締めた外向きの表情が崩れ、現れた素の彼女はいまだ少女めいてあどけなく、目にすれば胸に怒りとは違う熱が湧く。しかしその熱がどんな感情に起因したものなのかは、激情を燃やすこの時の俺にはわからなかった。
「此度、陛下の従者としてお仕えさせていただくことになりましたプロスペールの長男・セリウスと申します。誠心誠意、お仕えさせていただきます」
俺の内心の思いを割り、セリーヌは流れるように偽りの名乗りを口にする。耳にして、燃え上がる憤怒の炎がここまでなんとか繋がっていた理性の糸を焼き切った。
「ならば、さっさとその長ったらしい髪を切れ」
「え?」
低く唸るように告げれば、セリーヌは引き結んでいた唇を薄く開き、キョトンとした顔で俺を見返した。スッと引き締めた外向きの表情が崩れ、現れた素の彼女はいまだ少女めいてあどけなく、目にすれば胸に怒りとは違う熱が湧く。しかしその熱がどんな感情に起因したものなのかは、激情を燃やすこの時の俺にはわからなかった。