男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
「仮にも俺の従者になろうという者が長髪をなびかせてやって来ようとは見苦しい。俺は身辺に軟弱者は置かん」
彼女はやっと俺の言葉の意味を理解したようで、キュッと口を引き結んで俯く。ここまで真っ直ぐに俺を見つめていたブルーの瞳は、よほど後ろ暗い事情でもあったのか、前髪のうしろに逃げるように隠れた。
……ハッ!! 馬鹿馬鹿しい! ひとり踊らされ、とんだ茶番もあったものだ!!
「切れんのか? ならば俺の従者に其方は不要だ。早々に去るがいい!」
俺は吐き捨てると、バサリとマントを翻してセリーヌに背中を向ける。
長い髪は淑女の象徴で、それを切り落として暮らすのは罪人か場末の娼婦くらいのもの。貴族令嬢のセリーヌが長い髪を切れないことなどわかりきっていた。彼女は宮廷を去ることとなり、俺と彼女の人生が交わることは永遠になくなるだろう。
彼女はやっと俺の言葉の意味を理解したようで、キュッと口を引き結んで俯く。ここまで真っ直ぐに俺を見つめていたブルーの瞳は、よほど後ろ暗い事情でもあったのか、前髪のうしろに逃げるように隠れた。
……ハッ!! 馬鹿馬鹿しい! ひとり踊らされ、とんだ茶番もあったものだ!!
「切れんのか? ならば俺の従者に其方は不要だ。早々に去るがいい!」
俺は吐き捨てると、バサリとマントを翻してセリーヌに背中を向ける。
長い髪は淑女の象徴で、それを切り落として暮らすのは罪人か場末の娼婦くらいのもの。貴族令嬢のセリーヌが長い髪を切れないことなどわかりきっていた。彼女は宮廷を去ることとなり、俺と彼女の人生が交わることは永遠になくなるだろう。