男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
束の間の物思いは、ゼネダ様に室内に招き入れられたことで霧散した。
「はい。失礼します」
そうしてゼネダ様に伴われて向かった室内奥の執務机の前で、私は厚さにして五十センチはあろうかという業務マニュアルを両手に積み上げられて、腰を抜かしそうになった。
「これをすべて覚えるのですか?」
「ええ。従者の業務をリスト化し、手順の詳細を記したマニュアルです。私は『仕事は先輩の背中を見て覚えるもの』などという根性論や、『仕事は自分なりのやり方で、状況に応じて臨機応変に』などという真面目を装った怠惰な主張が許せません。故に、陛下の従者たる者――」
驚きに目を瞠る私を余所に、ゼネダ様は従者の心得を朗々と語りだす。
「――なにか質問は?」
長い、長い語りの最後に問われ、私はゆっくりと口を開いた。
「はい。失礼します」
そうしてゼネダ様に伴われて向かった室内奥の執務机の前で、私は厚さにして五十センチはあろうかという業務マニュアルを両手に積み上げられて、腰を抜かしそうになった。
「これをすべて覚えるのですか?」
「ええ。従者の業務をリスト化し、手順の詳細を記したマニュアルです。私は『仕事は先輩の背中を見て覚えるもの』などという根性論や、『仕事は自分なりのやり方で、状況に応じて臨機応変に』などという真面目を装った怠惰な主張が許せません。故に、陛下の従者たる者――」
驚きに目を瞠る私を余所に、ゼネダ様は従者の心得を朗々と語りだす。
「――なにか質問は?」
長い、長い語りの最後に問われ、私はゆっくりと口を開いた。