男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 サイラス様の腕が伸びてきたと思ったら、その手が私の首の後ろをグッと掴んで引き寄せる。
「んっ!?」
 彼の唇が迫り、噛みつくような激しさで唇が奪われる。反射的に体を後ろに引こうとするが、首裏を掴むのと反対の手がガッシリと腰に回されて、逃げを許さない。
 今回、私は唇が触れ合う瞬間に自然と瞼を瞑っていた。視界を閉じたことで、感覚が一層鋭敏に研ぎ澄まされる。
 合わさった唇から彼の舌先が入り込んで歯列を割る。
「……んんっ!」
 彼は我が物顔で私の口内を蠢き、柔らかさと温もりを余さずに味わっていく。私は呼吸も忘れ、彼に与えられる濃密な口づけに翻弄された。
 逆上せたみたいな苦しさを覚え、目の前がチカチカと点滅しだす。
「おい、セリーヌ!?」
 フッと気が遠くなりかけたその時、私の異変に気づいたサイラス様が口づけを解く。唇が解放されて、肺に酸素が一気に流れ込む。
 私は間一髪で卒倒を免れた。吸って吐いてを繰り返す私の様子を、サイラス様が呆れ眼で見下ろしていた。
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