男装即バレ従者、赤ちゃんを産んだらカタブツ皇帝の溺愛が止まりません!
 ピタリと抱き合う恰好になったことで、厚い筋肉に覆われた胸板に私の双丘が密着して柔らかに形を変えていた。触れ合った肌と肌から伝わる体温が心地よかった。
 さらに隙間なく触れ合ったことで、彼の胸が存外に早い鼓動を刻んでいることに気付く。
 トクントクンと速足のふたりの鼓動が、追いかけっこして重なって、やがて同じリズムを刻む。強張った体が、段々と綻んでくるのがわかった。
 そうすれば痛みだけではない、新たな感覚も生まれてくる。
「……ん」
 私が不可思議な感覚に僅かに身を捩れば、サイラス様は私の反応にふわりと表情を綻ばせ、ゆっくりとした律動を開始した。
 小さな波は段々と高く大きくなって、私とサイラス様を吞み込んでいく。
「セリーヌ……っ!」
 私たちはしっかりと抱き合って、同じ天辺を目指して駆け上る。
「あ、ぁあっ!」
 ついに極限まで高まった快感が真っ白に爆ぜ、全身でサイラス様を感じながら痺れるほどの愉悦に酔う。私たちはそのまま抱き合って、いつまでも引かぬ情事の余韻を味わった。
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