年下のかわいい後輩くんが彼氏になりました
◎ 揺れる啓太の心
そして夏美の送別会の日。
啓太の部活が今週は休みだから、啓太がうちに遊びに来ていて。
「今日は送別会だから、5時ごろに家を出なきゃならないの。ゆっくりできなくてごめんね」
「ううん、大丈夫だよ。今日は楽しんできてね。で、やっぱり行くんだよね?」
「何回聞くの、それ。変な啓太」
お出かけ用に髪を巻きながら啓太に答えた。
啓太は私に相手にしてもらえないからなのか、テーブルに乗っていたデートスポットの雑誌をずっと無言で見ていた。
「ねぇ、優菜。ここに行きたい」
その雑誌を広げて私に「ココだよ、ココ」と指をさしている。
「どこに行きたいって?」
私は啓太の指している所を覗く。
「八景島がいい」
「わぁ、楽しそうだね。私も行きたい!夏休みの最後に行けるといいね。啓太と沢山思い出作りたい」
「これからいくらでも思い出なんて作れるよ。俺たちが別れない限りはね」
「啓太、変なこと言わないでよ。別れない限りって、なに?」
合宿から帰ってきてから啓太が少しおかしい。やっぱり豪くんが原因?
「ん。今はさ、お互いが好きっていう気持ちでも俺たちの間に他の人が入ってくる可能性だって無いわけじゃないだろ。人の気持ちなんて脆いんだよ。ちょっとしたことで揺らぐんだよ」
「ねぇ、啓太。それって豪くんのことを言ってるの?合宿で何があったか知らないけど、私の好きな人は啓太なんだよ」