年下のかわいい後輩くんが彼氏になりました
「優菜、お待たせ」
片手にドライヤーを持って啓太がお風呂から出てきた。
「ん」
何も言わず啓太はドライヤーを私に差し出す。
これって、私にドライヤーをしてって催促してるのかな?
「ここ座って、啓太。ドライヤーするよ」
啓太のそれほど長くはない髪をドライヤーで乾かす。
啓太は無言で。目を瞑っている。
私は知らないふりをして、啓太の髪型を七三分けに癖をつけてみた。
啓太の正面に立って、仕上がりを見る。
「きゃははっ!!啓太、最高!ひーっ、おなか痛い」
「ん?なに?何がそんなにおかしいのさ」
「鏡見てきて!!30過ぎのサラリーマンだから。あはははっ」
洗面所の鏡に自分の顔を見に行った啓太が、
「うわ!ひっでーな、これ。俺おっさんじゃんか」
「啓太、こっち向いて」
私の方に振り向いた啓太はわざと眉間にしわを寄せて顔を作り、
「あと20年経ったらこんな顔になるけど、嫌いにならないでね」
「もう、啓太!大好きだよ」
私の緊張は啓太のおかげですっかり消えていた。