年下のかわいい後輩くんが彼氏になりました
◎ 斉藤くんと中途半端な関係
5月になると、どの部活も全国へ繋がる大会の地区予選が始まる。
「優菜先輩、来週から迎えに来れないんだ。とりあえず一週間」
「うん、試合だもんね。朝早いんでしょ?頑張ってね」
「そこはさ、寂しいって、言ってくれないの?」
「あっ、もちろん寂しいよ」
「ははっ!酷いな、優菜先輩は。取ってつけたような”寂しい”ってさ」
「あははっ。バレたか。」
私は舌を出しておどけて見せた。
「もう、優菜先輩!ムカつくわー!俺で遊んでるよね」
こんな冗談が言い合えるようになったのも、斉藤くんのおかげなのかな。いつも私のことを慕ってくれて、それでいて年上とか年下とか感じさせないし、私は素の自分でいられる。
彩の言う通り、一緒にいてこんなに素直に話せる相手って、私にとっては貴重なのかも。
「ねぇ、優菜先輩。試合の最終日は土曜日なんだけどさ。観に来ない?俺、試合に出してもらえるかも知れないんだよね」
「本当に?!斉藤くん、試合に出るの?わぁ、応援に行きたい!」
「その言葉は、冗談?本気?」
「本気だよ、もちろん。行ってもいいの?」
「うん、来て欲しいかも」
「会場はどこ?何時ごろ行けばいい?」
「会場は総合体育館って決まってるけど、試合時間は前日にならないと分からないんだよね。あー、そっか。時間の連絡できないね。残念だね。観に来れないね」
「んっと。携帯番号、交換しない?」
私の言葉を聞いて、斉藤くんは満面の笑み。
「よっしゃー!俺の勝ち!!」
そう言って片手をあげて喜んでいる。
「なにが?なにが勝ちなの?」
「俺さ、優菜先輩のケー番、本当はずっと知りたかったんだけど」
「うん、聞いてくれたら教えたのに」
「でもさ、優菜先輩の方から俺の番号を聞いてもらいたかったんだ。俺、それをずっと待ってた。だから俺の勝ちなの!」
「やっ!やだ!斉藤くんの罠にはまったの、私?」
「わーい!俺、すっげー嬉しい。優菜先輩が俺のことを求めてくれたんだよね。今すぐ抱きしめていい?」
「ダメです!」
ほんっとに、斉藤くんは!!素直で可愛いすぎる!