笑顔の花が咲くまでは#3~尊敬の花が流した涙~
「許さない!」

しかし、サルビアは施設長に向かって走っていく。

皆は、サルビアを止めようとしない。動けなかった、そう表現した方が早いだろうか。

『人のために泣ける、それはとても素晴らしいことなの。いつまでもその心を忘れないで……人を許せる人でいて』

ルクリアの言葉を思い出したサルビアは、立ち止まると手に入っていた力を抜いた。手に持っていたナイフが床に落ちる。

そして、サルビアは床に座り込んだ。サルビアの目からは、涙が零れ落ちる。

「……警察だ」

サルビアが泣いていると、扉が開いて警察が姿を見せた。そして、事件に関わった職員や施設長を連れていく。

その間泣き続けるサルビアを、シオンはずっと抱き締めていた。
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