My SUMMER
「そこって、、俺の席…?」
「え、うそ。ごめん…!」
誰もいなかったから何も気にせず窓際の席に座ってしまっていた。
「いやいや全然いいよ。それよか大丈夫?泣いてた…?」
その男の子は近寄ってくると、すっと私の顔を覗き込んだ。
「…!いや、全然、大丈夫!目に砂埃入っちゃったみたいで」
「…そっか。よかった」
にこっと微笑む彼。
「(…きれいな顔だな〜)」
陽の光に透けるダークブラウンの髪。
何よりも印象的なのは、綺麗なアーモンドアイ。
女の子にしても美少女だっただろうな、なんて思ってしまう整った顔だけど、
さすがサッカー部だけあって、体つきはすらっとしているけれど筋肉質だ。
「…ん?」
「…いや、なんでもないっ。てかごめんね、なにか忘れ物?」
慌てて彼の席から立つ。
隣に並ぶと、背の高い彼を見上げる形になった。
「あ、そうそう、携帯机に忘れちゃって」
「え…」
「ん?」
「いや、実は私も携帯机に忘れて、取りに戻ったところだったの」
「え、まじで?笑」
驚きながらも無邪気に笑う彼。
「なんか俺たち、気が合うね」
「え?」
「俺、須藤夏輝。同じクラスだろ?よろしくな」
ニコニコしながら手を差し出された。
「あ、私平野夕。よろしくね」
重ねた手は、大きく、暖かかった。