My SUMMER



「そこって、、俺の席…?」

「え、うそ。ごめん…!」


誰もいなかったから何も気にせず窓際の席に座ってしまっていた。




「いやいや全然いいよ。それよか大丈夫?泣いてた…?」


その男の子は近寄ってくると、すっと私の顔を覗き込んだ。



「…!いや、全然、大丈夫!目に砂埃入っちゃったみたいで」

「…そっか。よかった」


にこっと微笑む彼。



「(…きれいな顔だな〜)」

陽の光に透けるダークブラウンの髪。
何よりも印象的なのは、綺麗なアーモンドアイ。

女の子にしても美少女だっただろうな、なんて思ってしまう整った顔だけど、
さすがサッカー部だけあって、体つきはすらっとしているけれど筋肉質だ。




「…ん?」

「…いや、なんでもないっ。てかごめんね、なにか忘れ物?」


慌てて彼の席から立つ。


隣に並ぶと、背の高い彼を見上げる形になった。



「あ、そうそう、携帯机に忘れちゃって」

「え…」

「ん?」

「いや、実は私も携帯机に忘れて、取りに戻ったところだったの」

「え、まじで?笑」


驚きながらも無邪気に笑う彼。



「なんか俺たち、気が合うね」

「え?」

「俺、須藤夏輝(なつき)。同じクラスだろ?よろしくな」


ニコニコしながら手を差し出された。



「あ、私平野夕。よろしくね」



重ねた手は、大きく、暖かかった。





< 4 / 12 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop