My SUMMER
「じゃあ俺、練習戻るわ」
「あ、うん。私も帰らなきゃ」
まだ少しゴロゴロする目に、何度かまばたきをしてから、メガネをかけ直す。
「…なるほど」
「え?」
「平野ってメガネかけてたんだ」
「あ、そう。目悪いんだよね〜」
メガネをかけて彼の方をもう一度見ると、くすっと笑われた。
「道理でわからなかったわけだ。こんな可愛い子いたら、絶対初日で名前覚えてるはずなのに、なんでだろって思ってた」
「…え」
彼の言葉を一度反芻して、やっと意味がわかり、頬が熱くなった。
「素顔見れてラッキー!じゃあまた明日な」
そうやってまたニコッと笑うと、須藤くんは教室を飛び出していった。