愛して欲しいなんて言わない!
放課後になってからも
私は筆箱を探してみた

どこにもない

もしかして西九条は青山先生と
まだ話の決着をつけていないのだろうか?

いや…でも
犯人が青山じゃないとしたら?

違うなら
誰?

どうして私のモノを盗む?

考えても仕方がない
答えが出るわけじゃない

私は大きく息を吐き出すと
自分の机に座った

腕を組んで黒板をじっと見つめた

足を広げているせいか
スカートの襞が広がっていた
たぶん
前から見ればパンツが見えるかもしれない

「筆箱、見つかった?」

後ろから声が聞こえてきた
私は振り返ると、声の主の顔を見た

小林だった

「ううん、見つからない」

「そっか」

小林は自分の机の横にかけてある鞄を
手に取ると中から
綺麗にラッピングされてる箱を差し出した

「これ」

私は差し出した箱を
小林に押し返した

「良かったら、使って」

「駄目だよ
妹にあげるやつじゃん」

昨日、買ったプレゼントだ
確かに私も欲しいなぁって思ってた筆箱だったけど

私のじゃない

小林に妹がいないかもしれないけど
妹がいるという前提が買ったものだ

私が受け取るものじゃない

「また同じのを買いに行くから」

「なら、私が自分で買いにいくべきで
小林から貰うべきじゃない

それは小林の妹にあげるんだ」

私は断固として受け取らなかった
諦めた小林は、鞄の中にしまった

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