愛して欲しいなんて言わない!
青山先生は私がさっきまで
座っていた場所に
腰をおろした

私は冷蔵庫を開けると
冷たくなっている麦茶のボトルを出した

目のはしには
手のつけてない夕食が見えた

コップに麦茶をいれると
青山先生に差し出した

「あら、ありがとう
意外と気がきくのね」

意外と…ね
確かに気がきなかい人間に見えるだろうけど
ちょっと失礼だ

私が無言でさがると
ダイニングのテーブルに手をついて
椅子に座った

つまらない

苛々する

早く西九条は
帰ってこないだろうか

もしくは
青山先生の気がかわって
帰ってくれるといい

私は青山先生に聞こえないように
ため息をついた

「ねえ
小西さんはいつまでここにいるの?」

冷たい口調で青山先生が
聞いてきた

「わかりません
未成年で一人暮らしをするのは…
ちょっと…」

「あっそ」

つまらなそうに
青山先生が答えた

「今日はどこかに
行かないの?」

続けて青山先生が口を開く

「行って欲しいですか?」

「ええ…まあ」

私がいたら
セックスができないもんね

でも今日はどこにも行かない
行きたくない

「一度、帰宅してから
出かけるには西九条先生の許可ないと
…なので、西九条先生が帰ってきてから
聞いてみます」

私は申し訳なさそうに
ほほ笑んだ

青山先生は悔しそうな顔をしていた
瞳の奥に憎しみの感情が見えた

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