愛して欲しいなんて言わない!
それからとくに会話らしい会話もなく
私と青山先生は過ごした

気まずい空気が居間を包んでいる

私は9時半になると
椅子を立った

自室に戻りパジャマを取ると
風呂場に行った

先生はメールをしたり
テレビのチャンネルを変えたり
時間を潰していた

私が風呂から出てきても
青山先生の行動はかわっていない

10時半になると
私は青山先生に「寝る」と言い
自分の部屋に行った

寝室には行けない
もしかしたら
青山先生は西九条の寝室を知っているかもしれないから

私がその寝室にずかずか入って行ったら
きっと怪しむだろう

だから今日は
久々に自分のベッドに寝ようと思った

ここに引っ越してから
一度も横になったことがない

とりあえず
ベッドの用意をしてあっても
使っていなかった

部屋に戻って携帯を見る

メールが一件きていた
9時に西九条からメールがあったらしい

気付かなかった

『カラオケに行くことになった
11時前には帰れるようにする』

西九条は律儀な男だ
酔っぱらって我を忘れたりしないんだ

西九条からのメールが嬉しく感じた

シングルのベッドに倒れこむと
もう一度
西九条からのメールを眺めた

嬉しさが心を熱くする

青山先生には来ず
私にはくるメール

それがまた
私を嬉しくさせた
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