愛して欲しいなんて言わない!
私は着替えると
ゆっくりと歩いた

股の奥に違和感がある

痛いってほどじゃないけど
違和感が気になって
スタスタと歩けなかった

居間にいくと
西九条はベランダに干していた洗濯ものを
取りこんでいた

「手伝おうか?」

私はベランダにいる西九条に声をかけた

「いいよ
歩き方がおかしいよ
ソファに座ってろ」

西九条の声は優しい
まるで学校にいるときの
西九条みたいだ

私はソファに座ると
テレビをつけた

別に見たい番組はない
でも何か音がないと
ベッドにいる西九条を
思い出してしまいそうで


思い出すのが嫌ってわけじゃない

幸せな時間だった
でも恥ずかしい

恥ずかしくて
西九条の顔を見るのに
緊張した

< 125 / 151 >

この作品をシェア

pagetop