愛して欲しいなんて言わない!
早歩きで
ロビーを歩いていると
母親が小走りで近づいてきた

「どうしたの?」

血相を変えて母親が
口を開いた

面倒くさいんですけど?
話しかけないでよ

「べつに」

「だってさっき
部屋に行ったばかりじゃない」

こんなに早いんじゃ
セックスができてないって
心配か?

馬鹿みたい

親が娘のセックスを楽しみに
ロビーで待ってるなんて

阿呆らしくて
笑う気にならない

母親の腕を振り払うと
私はホテルを出て行った

面倒じゃん
説明するの

第一
あいつと結婚する気なんて
ないし

親に期待させるなんて
ごめんだ

タクシーに乗ると
家に帰らず

中学時代の知り合いが経営している
カフェに向かった
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