愛して欲しいなんて言わない!
8時20分に朝礼の鐘が鳴った
すぐにドアが開いて
担任が入ってきた

あの男!

教室に入ってきた男を見て
私は目を見開いて、
思わず席を立ってしまった

「どうした?」

担任の男が私の顔を見た

「いえ、何でもありません」

私は喉を鳴らしながら
椅子に座った

クラスの目が
私に向いていた

「今日から一年間
このクラスの担任になった
西九条だ」

聞き覚えのある偉そうな声だ

そうそう
西九条とかいう名前だったよ

見合いを思い出した

嫌な思い出だ
思い出したくもない

私は耳を押さえて
担任の声を遮断した

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