愛して欲しいなんて言わない!
「西九条って教員3年目でしょ?
もう学年主任だってさ
すごくない?」

「まじ?
格好良くて、人気があるからね~」

「格好いいからって主任に
なれるわけないじゃん」

「そっか
ヤリ手なんだね」

クラスの女子が
休み時間にそんなことを
話していた

私はその会話を思い出しながら
重たい書類を持って
放課後の廊下を歩いていた

「小西さん、僕も持つよ」

メガネをかけて
いかにも優等生な小林綾(りょう)が
話しかけてきた

小林もすでに重たそうな本を
何冊か持っている

「平気」

私たちは職員室に入ると
西九条の机に荷物を置いた

「悪いな~
学級委員に頼んじゃって」

「いえ…平気です」

小林が返事をした

「今まで、理科室に机があったからさ
荷物の移動が間に合わなくて
本当に申し訳ない」

西九条が笑顔で頭を下げた

何で?
第一印象と全然雰囲気が
違うんですけど?

「他にあれば
持ってきますけど?」

「ああ
頼んでもいいか?」

「ええ」

「んじゃ、昼飯おごるから!
悪いな、これから会議なんだ
理科の研究室の鍵を渡しておくから
頼むな」

西九条は小林に鍵を渡すと
職員室を出て行った

またパシリですか?

なんで
小林も西九条の手伝いを嫌がらない?

優等生ってこんなことまで
するわけ?

…って学級委員の仕事じゃないじゃん!
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