愛して欲しいなんて言わない!
お泊りセットも何も持たず
私は優衣の店にあがりこんだ

優衣の家は、店の上の階にある
3階建ての一戸建てで

1階部分を、店にしているのだ

私は2階のダイニングルームで
優衣のいれた紅茶を飲んでいた

「はあ…
私には家がなくなった」

「婚約者のところ行けば、
家具はあるんでしょう?」

優衣が優しい口調で言ってくれる

「でも家に帰れないし
あの男がいるところには
行きたくない!

…金もない」

学生鞄をあけて
財布を出すと
500円玉と
無駄に多い1円玉を見せた

なんで
勝手に荷物を送るかな~

…てか

勝手に見合いを帰ってきた私に
向こうの両親は怒らなかったのか?

見合いの日以来、
別に何も言ってこなかったから

破談になったと
思っていたのは

私の勝手な思い違いだ…

最低!
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