愛して欲しいなんて言わない!

触れ合い

「消すぞ」

「うん」

深夜11時
いつものように寝室の電気が消された

西九条といると本当に規則正しい毎日だ

枕に顔を埋めると
布団を頭までかぶった

明日は何がなくなっているかな?
上履き、皮靴
次は…
教科書か体育着か?

机に落書きっていうのもあるかも

何でもいいけど
精神的に疲れそう

「大丈夫か?」

西九条が耳元で囁いた

え?

すぐ後ろに西九条がいる
…って同じベッドにいるんだから
当たり前だけど
こんな近くに寄ってくることはなかった

「何が?」

私は冷たく言う

西九条の手が布団の中で動くと
私を背中から抱きしめた

温かいぬくもりが私の体を
包んだ

ボディソープの匂いが
私の鼻をくすぐった

「辛かっただろ」

「だから何が?」

「上履きもすぐに買ってやるから」

「別にスリッパでも支障はないけど」

「強がるな」

どうして西九条は
私の弱いところをついてくるのだろう

優しくされたら
私は甘えてしまうじゃないか

強く生きていけなくなる

「私は負けない
でも、青山先生とのことは
ちゃんと話しつけてよ」

「ああ、わかってる
話しをするから

理菜も無理はするな」

「無理なんか
人生で一度もしたことないよ」

「ずっとしてきただろ」

「知っているふうに言うな」
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