愛して欲しいなんて言わない!
「知っているよ」

え?

私が振り返ると
西九条が優しい瞳で
私を見ていた

おかしい
明らかにこの展開はまずい!

そんな気がした

「酔ってる?」

「酒は一滴も飲んでないだろ」

「でも今日の西九条は
変だ」

「変か…
俺はずっと一人の少女を見てきた
寂しくて悲しい目をしているのに
必死に感情を押し殺して
両親の後ろで我慢してた少女を」

西九条?
誰のことを言っている?

「もう寝ろ」

「言われなくても寝るけど」

「そうだな」

西九条が私から離れた
背を向けると
布団を首までかけていた

西九条がいっていた少女って
もしかして


私?
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