愛して欲しいなんて言わない!
私の頬が熱をもつ

西九条の顔を見れなくなった

緊張する
体が硬くなった

「着替えてくる!」

私はベッドから出ると
走って部屋を出ていこうとする

「理菜!」

西九条が
私の手首を掴んだ

「な、何?」

「スリッパ、履いていけ
冷えるぞ」

「わかった」

私はスリッパを履くと
はたはたと音をたてながら
自分の部屋に入った

西九条を見るだけで
緊張した

どうしてだろう
なんでだろう

呼吸が乱れる

昨日の夜のせいだ
急に抱きついてくるから

それに

『理菜』って
優しく名前を呼ぶから・・・


妙に
意識してしまう

低い声で
名前を呼ばれるなんて

滅多にないことだから

西九条の声が
頭の中で響いた

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