幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「皆、心配性だなぁ。うちには、宝物なんてないのに」
「一番の宝物は、リーゼお嬢様ですよ」

 アルダリオンは、リーゼのことを"リーゼお嬢様"と呼ぶことに決めたらしい。

「……それは、ないと思う」

 アルダリオンは、リーゼをいったいなんだと思っているのだろう。宝物、と言われて胸がうずいたのは気づいていないふりをした。

(お母様は、私達のことを宝物だって言ってくれていた)

 今頃、フランチェスカはどうしているだろう。サージの出した手紙には、母からの返事が届いていた。
 フランチェスカは、元気にやっているというが、"リーゼロッテ"と呼ばれることには納得がいっていないようだ。
 リーゼロッテの名を奪っただけではない。フランチェスカの名も奪ったということに、公爵はいつ気づくのだろう。

(早く大人になって、名前を取り返しに行きたい)

 今さら、公爵家に戻りたいとは思わないが、"リーゼロッテ"の名前は取り返すのだ。絶対に。

「俺達、森で狩りをするつもりだったんだ。あと、キノコなんかを狩るつもりだった。お前、エルフならそういったものを見つけやすいんじゃないか?」
「任せてください。リーゼお嬢様に、恩返しをしなければなりませんからね」
「私、別にたいしたことをしたわけじゃないんだけど」
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