幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!

 エルフというものは、リーゼが思っている以上に、義理堅いのだろうか。水とおやつを分けた程度で、こんな女神のような扱いを受けるとは思っていなかった。

「アルダリオン、夕食の食材が欲しい」

 厨房をメインで預かっているのはリリンダだ。彼女に向かってアルダリオンはにっこりとして、あちらこちらに指を向ける。

「ほら、こちらの果物は、砂糖を入れてジャムにするとおいしいんですよ。栄養価も高いですし、つんでいきましょう。こちらの木の実は炒って塩を振るといい酒のつまみになります」

 アルダリオンの前に、森の恵みが次から次へと現れるのではないかと思うほどだ。彼の見つけ方が異常に上手なだけなのだろうが、さすがエルフと思わざるを得ない。

「アルダリオンは、ずっと旅をしていたのでしょ? このあたりの人達、どんなことで困っているか知らない?」

 歩きながら、リーゼは問いかけた。周辺の住民が話をしてくれないというのなら、他の人に話を聞けばいいのだ。

「そうですねぇ……」

 形のよい指を顎に当て、アルダリオンは考え込む表情になった。

「川の氾濫が心配ですね。堤防を作ってはあるのですが、傷んでいるので補修工事が必要です――先日、そんな話を聞きましたよ」

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