幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
(本当に、変わった人間ですね……だからこそ、ここにとどまると決めたのですが)
リーゼの様子を見守るアルダリオンは、心の中でつぶやく。
アルダリオンはすでに二百年ほど生きている。森の外に出てからは、百五十年近いだろうか。
その間に、多数の人間に関わって来たけれど、リーゼのような存在は見たことがなかった。
小さな体に、大人びた表情。考えることも大人に近く、他人のために自分を犠牲にするのもいとわない。
道端に倒れていた怪しげなエルフだって、迷うことなく自分の領域に招き入れる。
一言で彼女を言い表すならば――危うい、という言葉が一番近いかもしれない。彼女は、どこまでもどこまでも自分より先に他人を気遣ってしまう。
(だからこそ、目を離せないのですけれども)
いずれ、リーゼはアルダリオンが彼女のもとを離れると思っているだろう。だが、エルフにとって、十年二十年はさほど長い年月ではない。
もう少し、リーゼを見守っていたいような気がするのだ。反対側の頬にも泥をつけたリーゼの頬に、アルダリオンはハンカチを当てた。
「どうしたの?」
堤防を強化するのを忘れてしまった様子で、リーゼはきょとんとした顔でこちらを見上げた。
リーゼの様子を見守るアルダリオンは、心の中でつぶやく。
アルダリオンはすでに二百年ほど生きている。森の外に出てからは、百五十年近いだろうか。
その間に、多数の人間に関わって来たけれど、リーゼのような存在は見たことがなかった。
小さな体に、大人びた表情。考えることも大人に近く、他人のために自分を犠牲にするのもいとわない。
道端に倒れていた怪しげなエルフだって、迷うことなく自分の領域に招き入れる。
一言で彼女を言い表すならば――危うい、という言葉が一番近いかもしれない。彼女は、どこまでもどこまでも自分より先に他人を気遣ってしまう。
(だからこそ、目を離せないのですけれども)
いずれ、リーゼはアルダリオンが彼女のもとを離れると思っているだろう。だが、エルフにとって、十年二十年はさほど長い年月ではない。
もう少し、リーゼを見守っていたいような気がするのだ。反対側の頬にも泥をつけたリーゼの頬に、アルダリオンはハンカチを当てた。
「どうしたの?」
堤防を強化するのを忘れてしまった様子で、リーゼはきょとんとした顔でこちらを見上げた。