幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
シドがリーゼを乗せて走り去る。くるりと振り返ったアルダリオンは、何も言えずにこちらの様子を見ている町長達に、氷のような目を向けた。
「――失礼。あなた達は、あなた達で堤防の確認に行った方がいいと思いますよ」
身をひるがえし、リーゼ達に続く。取り残された町長達は、誰も声をかけることさえできないようだった。
* * *
「領主様にお会いしたいのだが」
屋敷を訪れたのは、デリモの町長だった。アルダリオンは、彼を屋敷の中には入れないよう、玄関扉の前で腕を組む。
「リーゼお嬢様は、お休み中――いや、ご病気なのです。静かにお引き取り願えませんか」
「……なんと!」
アルダリオンはその場に居合わせたわけではないものの、町長が領主としてやってきたリーゼを認めなかったという話は聞いている。
「雨の中、領民を守るためにリーゼお嬢様は命を尽くして戦われました。今は、お休みの時間です。シド、お帰りのようですから、門のところまで送ってください」
「任せろ!」
「わ、私はデリモの民を代表して――うわあああ!」
町長の上着をくわえたシドが、ずるずると町長を引きずっていく。
雨の中、リーゼは魔力が尽きるまで、堤防の強化を続けた。
「――失礼。あなた達は、あなた達で堤防の確認に行った方がいいと思いますよ」
身をひるがえし、リーゼ達に続く。取り残された町長達は、誰も声をかけることさえできないようだった。
* * *
「領主様にお会いしたいのだが」
屋敷を訪れたのは、デリモの町長だった。アルダリオンは、彼を屋敷の中には入れないよう、玄関扉の前で腕を組む。
「リーゼお嬢様は、お休み中――いや、ご病気なのです。静かにお引き取り願えませんか」
「……なんと!」
アルダリオンはその場に居合わせたわけではないものの、町長が領主としてやってきたリーゼを認めなかったという話は聞いている。
「雨の中、領民を守るためにリーゼお嬢様は命を尽くして戦われました。今は、お休みの時間です。シド、お帰りのようですから、門のところまで送ってください」
「任せろ!」
「わ、私はデリモの民を代表して――うわあああ!」
町長の上着をくわえたシドが、ずるずると町長を引きずっていく。
雨の中、リーゼは魔力が尽きるまで、堤防の強化を続けた。