幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「どうするつもりって……まずは、行き倒れた恩返しを、ですね」
ふん、と銀のフェンリルは鼻で笑った。
「お前、あれわざとだろ? 主が行きそうなところを狙って倒れてた。吾輩の目はごまかせん」
「――おや。私は悪者ではないと証言してくださったのはあなただと思ったのですが?」
「今でも悪い奴じゃないと思っているさ。だから、聞いてるんだ――どうするんだ?」
雨の中、アルダリオンは考えた。おそらく、シドも考えていることはたいして変わらないだろう。
「あなたと同じですよ、きっと。あの方がどこまで育つのか、側で見守りたいんです」
旅をしている間に風の精霊達が伝えてきた噂話。人間の耳には届かない。エルフであるアルダリオンだからこそ聞くことのできた話だ。
強大な魔力を持っているのに、"硬化"しか使えない哀れな娘。
もし、彼女の心根がアルダリオンがかつて知っていた娘と同じものならば。彼女は、アルダリオンの仕えるべき主となる。
「……それならまずは薬だな。主殿の身体は、吾輩が思っていたよりずっと弱い」
「人間は弱いということを肝に銘じなければいけませんね」
こんなに弱いと知っていたら、もっと早くリーゼを止めるのだった。
ふん、と銀のフェンリルは鼻で笑った。
「お前、あれわざとだろ? 主が行きそうなところを狙って倒れてた。吾輩の目はごまかせん」
「――おや。私は悪者ではないと証言してくださったのはあなただと思ったのですが?」
「今でも悪い奴じゃないと思っているさ。だから、聞いてるんだ――どうするんだ?」
雨の中、アルダリオンは考えた。おそらく、シドも考えていることはたいして変わらないだろう。
「あなたと同じですよ、きっと。あの方がどこまで育つのか、側で見守りたいんです」
旅をしている間に風の精霊達が伝えてきた噂話。人間の耳には届かない。エルフであるアルダリオンだからこそ聞くことのできた話だ。
強大な魔力を持っているのに、"硬化"しか使えない哀れな娘。
もし、彼女の心根がアルダリオンがかつて知っていた娘と同じものならば。彼女は、アルダリオンの仕えるべき主となる。
「……それならまずは薬だな。主殿の身体は、吾輩が思っていたよりずっと弱い」
「人間は弱いということを肝に銘じなければいけませんね」
こんなに弱いと知っていたら、もっと早くリーゼを止めるのだった。