幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
(もうちょっと早く警告するとかしたらよかったのかな……)

 リーゼが警告したところで、誰もデリモの領主だとは思わないだろうけれど。なんとなく胸がもやもやしてしまうのは、リーゼがデリモの領主だと自認しているからか。

「主、よくやったな。昨日、町長が会いに来たぞ」
「町長が?」

 足元に丸くなっていたシドが立ち上がる。この部屋にはリリンダしかいないと思っていたら、シドは見えないところでリーゼを守っていたようだ。

「よくやった。主は立派な領主だ」
「えへへ、そうかな?」

 ぎしりと音をさせてベッドに前足をのせたシドは、リーゼの頬をぺろりと舐める。ざらざらの舌の感触がくすぐったくて、リーゼはくすくすと笑った。
 だが、やっぱり本調子ではないようで、笑いで身体が揺れただけで頭の奥がガンガンとする。

「……やっぱり、まだ頭が痛い」
「薬が効いたら落ち着く……とアルダリオンは言っていた。リーゼは、もう少し眠るといい」
「うん。あ、そうだリリンダ」
「なぁに?」
「寝ちゃう前に、アルダリオンに会いたいな。薬のお礼、言ってないもの」
「連れてくる」

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