幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
「うーん、どうだろ」

 町長の申し出に、オルシウスはちょっと困った顔になった。さすがの彼も、戦闘訓練を受けていない町の人達にできることは思いつかなかったらしい。

「あるぞ。防壁の上に投石機を取り付けるんだ。その投石器の操作を担当してもらえばいい」

 ムラトが重々しい言葉で言うと、皆、彼に視線を集中させる。ムラトのごつごつとした手が、地図の上の一点を押さえた。

「投石器の設計図は手元にある。いつか使うことがあるだろうと思って準備は始めていた。デリモの大工達の協力があれば、俺がひとりで作るより速い」
「では、町民に石を集めるのもやらせましょう」

 自分にもできることがあると知った町長は、ほっとした顔になった。

「リーゼ、泥を固めることはできるか」
「できると思う。うんと硬くすればいいんだよね」

 ムラトの言葉に、リーゼは大きくうなずいた。この状況でリーゼにもできることがあるのであれば、全力を尽くす所存だ。

「なら、子供達には石を集めるのと同時に泥団子を作ってもらおう。それをリーゼが、固めるんだ。ぶつかったら、崩れるように調整して」

 にやり、とムラトが悪い顔をする。

< 244 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop