幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 父が、リーゼロッテを一番大切にしているから、母はその分フランチェスカをかまっているだけなのだ。フランチェスカは馬鹿ではないから、そのくらいちゃんとわかる。

(リーゼの方が、たくさん魔力があるから。お父様は、フランよりリーゼが好きなんだ)

 リーゼロッテとフランチェスカは同じ顔をしていても違う人間だ。
 一番の違いは、二人の体内にある"魔力"の量。フランチェスカも多い方らしいけれど、リーゼロッテの方が断然多い。
 だから、リーゼロッテがフリードベルク公爵家の跡取りになると決まっていると、使用人達が噂しているのを聞いた。
 跡取りが何なのか知らないが、父が余計に愛してくれるのなら、フランチェスカが跡取りになりたい。
 そんな風に思っていたら、五歳の誕生日に人生は大きく変化してしまった。
 フランチェスカが授かったのは"回復魔術"。
 このスキルを持っていると、父の役に立つことができる。

「でかしたぞ、フランチェスカ!」

 父がそう言って誉めてくれたから、フランチェスカは胸を張った。父が正面からフランチェスカを見てくれたのは初めてだったかもしれない。

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