幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 だから、フランチェスカはぬいぐるみを抱きかかえたままでいる。耳を吸っている時だけは、落ち着いていられるから。

「――リーゼロッテを、デリモにやることにした」

 父が母にそう宣言しているのを聞いてしまった。デリモという町がどこにあるのかフランチェスカは知らない。
 母にリーゼロッテはいつ帰ってくるのかと聞いたら、困ったようにうなずいただけだった。母のその顔を見ていたら、フランチェスカも深く追及することはできなかった。
 けれど、リーゼロッテが遠くに行ってしまう。リーゼロッテのために、フランチェスカは何ができるのだろう。
 考えて、考えて、考えて、考えても答えなんて見つからない。これからどうしたらいいのだろう。

「ねえ、フランどうしたらいいのかな?」

 フランチェスカの枕元に二つ並べたお揃いのぬいぐるみ。もちろん、ぬいぐるみが返事をすることなんてない。
 一つはっきりしているのは、今までのようにリーゼロッテに守ってもらうことはできなくなるということだけだった。
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