幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
そして、リーゼロッテの手を引いて、外へと連れ出した。母の手は、ひんやりと冷たい。さんざん泣きはらしたらしく、彼女の目は赤かった。
玄関の前に待っていたのは、立派な馬車だった。フリードベルク公爵家の紋章こそついていないものの、名のある貴族の持ち物であろうことはその立派なつくりからわかる。
御者台には御者が乗り込んでいて、馬車の周囲を、傭兵と思われる男達が囲んでいる。
「コルネリア様、このお嬢ちゃんを連れて行けばいいんだな?」
馬車の側に立っていたのは、背の高い男だった。
真っ赤な髪が印象的だ。母の手を握りしめたまま、リーゼは男の顔を見上げた。
明るい緑色の瞳が、リーゼを見つめ返してくる。貴公子的な整った顔立ちというわけではないけれど、邪気のない笑みはたいそう好印象だった。
「ええ……あなたしか頼れる人がいなくて。娘を、お願いできる?」
母を見た時、男の目が一瞬だけ切なそうな光を放つのにリーゼは目ざとく気が付いた。
(この人、お母様とどんな関係なんだろう)
リーゼロッテの前世である佳奈は、二十四歳だった。その分、他の五歳児と比べたらそれなりに知能も高く、その気になれば母ともっと対等に話をすることもできた。
玄関の前に待っていたのは、立派な馬車だった。フリードベルク公爵家の紋章こそついていないものの、名のある貴族の持ち物であろうことはその立派なつくりからわかる。
御者台には御者が乗り込んでいて、馬車の周囲を、傭兵と思われる男達が囲んでいる。
「コルネリア様、このお嬢ちゃんを連れて行けばいいんだな?」
馬車の側に立っていたのは、背の高い男だった。
真っ赤な髪が印象的だ。母の手を握りしめたまま、リーゼは男の顔を見上げた。
明るい緑色の瞳が、リーゼを見つめ返してくる。貴公子的な整った顔立ちというわけではないけれど、邪気のない笑みはたいそう好印象だった。
「ええ……あなたしか頼れる人がいなくて。娘を、お願いできる?」
母を見た時、男の目が一瞬だけ切なそうな光を放つのにリーゼは目ざとく気が付いた。
(この人、お母様とどんな関係なんだろう)
リーゼロッテの前世である佳奈は、二十四歳だった。その分、他の五歳児と比べたらそれなりに知能も高く、その気になれば母ともっと対等に話をすることもできた。