幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
だが、時期尚早だと思っていたから、母の若い頃の話については詳しく聞いたことはない。
今となっては、もう少し詳しく聞いておいた方がよかったかもしれないと密かに後悔した。きっともう、母と顔をあわせてゆっくり話す機会はもうないだろうから。
「コルネリア様のためなら、俺達はどこにだって行くさ。このお嬢さんをデリモまで護衛する。それが仕事だったな?」
「ええ……」
男の手に、母が革袋を落とすのが見えた。どうやら礼金が入っているらしいそれは、男の手に落ちた時、ずしりと重そうな音がした。
重さを確かめるように数度手の上で弾ませてから、男はリーゼの方に向き直る。膝を折り、上半身をかがめて、正面からリーゼと視線を合わせてきた。
「ちっちゃな嬢ちゃん。名前は?」
「……リーゼ」
母の手を握る手に力がこもる。名を半分奪われた痛みが、改めて襲い掛かってきた。
「よし、リーゼ嬢ちゃん――だな。俺の名はサージ・ベイティス。ベイティス傭兵団の長ってところだ」
リーゼが名乗ると、サージはパッと笑顔になった。明るい笑顔で、子供相手にも丁寧だし、やはり彼の印象は悪くない。
今となっては、もう少し詳しく聞いておいた方がよかったかもしれないと密かに後悔した。きっともう、母と顔をあわせてゆっくり話す機会はもうないだろうから。
「コルネリア様のためなら、俺達はどこにだって行くさ。このお嬢さんをデリモまで護衛する。それが仕事だったな?」
「ええ……」
男の手に、母が革袋を落とすのが見えた。どうやら礼金が入っているらしいそれは、男の手に落ちた時、ずしりと重そうな音がした。
重さを確かめるように数度手の上で弾ませてから、男はリーゼの方に向き直る。膝を折り、上半身をかがめて、正面からリーゼと視線を合わせてきた。
「ちっちゃな嬢ちゃん。名前は?」
「……リーゼ」
母の手を握る手に力がこもる。名を半分奪われた痛みが、改めて襲い掛かってきた。
「よし、リーゼ嬢ちゃん――だな。俺の名はサージ・ベイティス。ベイティス傭兵団の長ってところだ」
リーゼが名乗ると、サージはパッと笑顔になった。明るい笑顔で、子供相手にも丁寧だし、やはり彼の印象は悪くない。