幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 若い頃の記憶は、今でも時にサージの胸を甘く疼かせる。
そのコルネリアからの依頼だ。断るわけにもいかないだろう。

契約の際、コルネリアから聞かされたのは、期待されていた長女が外れスキルしか授からなかったという事実。そして、父である公爵が、その娘を辺境の地に追いやろうとしているということだった。

「冗談だろ、そんなことで娘を追放するのかよ」
「リーゼロッテは、生まれ持った魔力が多かったから期待していたのでしょうね。その分、失望したらしくて」

 七年ぶりの再会となったコルネリアは、大人の女性へと成長していた。けれど、彼女の姿を見ても、胸がわずかにざわめいたけれど、焦がれるようなことはなかった。
 過去は過去――齢三十ともなれば、忘れられない恋の一つや二つあっても当然だ。懐かしさはあれど、過去の想いにすることができたのかもしれない。

「私は、あの人には逆らえなくて。できるのは、リーゼロッテの力になってくれる人をつけてあげることだけ。どうか、娘を守ってください」

 かつて、互いに好意を寄せていた相手から深々と頭を下げられて、断ることはできなかった。その想いを過去の思い出として、綺麗に片付けたあとだからなおさらだった。

(……これが、五歳の子供か?)

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