幼女で領主で聖女様!?名前を奪われ外れスキルと追放されたけど、辺境の地でなりあがる!
 リーゼが大人になるまで側にいるとサージは言ってくれたけれど、その約束が実現できるとは限らない。
 だから、いつ、彼らとの別れが来てもいいように、大好きの言葉は惜しまずにいたい。

「じゃあさ、今日は森に寄って、キノコとか探して帰ろうよ」
「吾輩が、獲物を狩ってきてやろう。主は肉を食わねばならないからな」

 リーゼの提案にシドが乗った。フェンリルであるシドは非常に狩りが上手い。
 野菜の収穫までには時間がかかる。それまでも、できるかぎり食費も節約しておきたいところだから、森で食料を調達してから戻るのも悪くない。このあたりの住民は認めてないとはいえ、リーゼは領主だから森のものを持ち帰ってもかまわないわけだし。

「よし、じゃあ、森に行くか。何か甘いものも見つかるかもしれないしな。果物も食べたいだろ」
「うん! リーゼ、果物も探す!」

 サージは気を取り直した様子だ。今の時期だったら、野生のベリーが見つかるだろうか。砂糖をたっぷり使ってジャムにしたり、パイにしたりしてもいい。
 早めに、料理できる人だけは雇った方がよさそうな気もしてくる。リリンダを筆頭に傭兵団の人が交代で料理してくれるが、毎回肉を焼いてスープを作って終わりである。

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