死神は花を狂おしい程愛してる

｢え？そりぁ…欲しいよ？｣
｢そうなんだ……｣
｢蒼士さんは？｣
｢んー考えたことなかったな…｣
｢そうだよね。まだ蒼士さん、20歳だし…｣

｢そっか…その問題があったな……｣
呟く、蒼士。
｢え？｣
｢ううん。会場、戻りたくないな…汚ねぇし…｣

｢あ、こんなとこにいた｣
洋次が二人を探して、表れた。
｢洋次、もう帰っていい？｣
｢でも、百田社長が呼んでるよ。仕事の相談だって｣
｢あ、じゃあ…行かなきゃ！蒼士さん｣
｢あ、花楓様はいない方がいいんじゃないかな？｣
｢え？｣
｢あーそうだな。
花楓、ちょっと待ってて！すぐ済ませて来るから！｣
そう言って羽山に花楓を預け、会場に戻った蒼士だった。

｢蒼士様、先程は妻が大変失礼なことを言って、申し訳ありませんでした！｣
百田が90度以上身体を曲げて、謝罪する。
｢あなた、ここまでしなくても……｣
｢ほら、お前もちゃんと謝罪しろ！？｣
｢申し訳ありませんでした｣
妻の言う通り、ここまでする必要はないのだ。
いくら蒼士が裏の世界のボスでも、百田も大きな企業の社長だ。
しかも歳なんて、50近く離れている。
でも、ここまでしないと後が恐ろしいのだ。

東園と言えば、裏では誰もが恐れる死神。
英士もかなり残忍だった。
その血を継ぐ蒼士はその残忍さの上、非道で無情だ。
怒らせれば、何をするかわからない。

だから、百田も必死だ。
｢話って、何だ？｣
｢それが、最近氷組がうちを狙ってまして………｣
｢あー
で？｣
｢あの…だから……｣

｢殺ってほしいんでしょ？｣
洋次のはっきりした言葉。