死神は花を狂おしい程愛してる
玄関に送る途中、羽山が話しかける。
「お気を悪くさせてすみません。
蒼士様は、花楓様にしか興味を示されませんので……」
「いえ…でも、羨ましいです。
あんなに愛されて……私の彼はそんな人じゃないから」
「そうでもないですよ。花楓様の場合は…
見ていて辛いです」
「え…?」
「あ、いえ!すみません!余計なことを……
では、お気をつけて…!」

一方花楓は、今蒼士の着替えを手伝っている。
「蒼士さん」
「んー?」
蒼士は基本的に花楓と一緒の時は、花楓から目をそらさない。
今もジーッと見つめ、時折口唇や頬にキスをしている。
「今度、里紗とランチに行くのはやっぱりダメ?もちろん蒼士さんの仕事の時間に」
「………」
キスをしていた蒼士の動きが止まる。
「え……
━━━━━!!
ダメだよね!ごめんね!もう言わないから!」
蒼士の表情と雰囲気を見て、察した花楓。
慌てて、言い直した。
「花楓」
「え?」
「あんまり聞きわけ悪いと、家の中の招待さえ禁止にするよ。
ほんとに誰にも会えなくなるよ?」
「ごめんね…」
「花楓は、俺のものなんだからね。
一番に俺のことを優先にしないといけないんだよ!
俺も花楓を優先してるんだから」
「はい…」
「ん。
じゃあ…ゆっくりしようか?
まだ夕食には早いし」
「うん」

ソファーに後ろから抱き締められて座っている、花楓。
頬に顔を擦り寄せて来る蒼士。
蒼士がこんな仕草をする時は、甘えたい時だ。
頭を撫でると、猫のように気持ちよさそうにする。
この時ばかりは、可愛くて癒される。
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