死神は花を狂おしい程愛してる
寝息をたて眠っている、花楓。
「花楓…?」
自分の胸の上で眠る花楓を支えながらゆっくり起き上がった、蒼士。

優しく微笑み、頭を撫でた。
花楓を抱き上げ、ベットに移動して下ろした。
蒼士も横に花楓を包み込み、横になった。
「んん…蒼、士さ…」
「え…花楓…?」
「………」
どうやら寝言らしく、蒼士の胸に顔を擦り寄せた。
「━━━////!」
こんな小さなことでさえ、蒼士にとってはこれ以上ない程の狂喜で震える。
蒼士は身体がゾクゾクして、頭を撫でる手が震えていた。

その日は、夕食をとらずそのまま眠った二人。
夜中に目を覚ました、花楓。
蒼士にしっかり抱き締められていて、思うように身動きがとれない。
なんとか這い出てベットから下りようとすると、手を掴まれた。
「え?まさか…起きてる?」
「………」
どうやら無意識に掴んだようだった。
自然と微笑んだ、花楓。
その手をゆっくり丁寧に剥がし、再びベットから下りた。
自分の服が見つからず、近くにあった蒼士のカッターシャツを羽織った。
テーブルの上の蒼士の煙草が目に入り、何気なく一本取って咥え、火をつけた。
「…っつ…ゲホッゲホッ……
ゲホッ…く、苦し……」
かなり激しく咳き込んだ、花楓。

その声に蒼士がガバッと起きた。
「花楓!?」
「ケホッ…蒼…士、さん……」
ベットを飛び下りた蒼士が、花楓の元に駆けつけた。
「なにやってんの!?
この煙草はかなり強いから、花楓みたいな初心者には無理だよ!」
「そう、みたい…でも、蒼士さんが美味しそうに吸ってたから……」
「だからって…大丈夫?喉、やられたんじゃ……」
ソファーの花楓の横に座り、心配そうに顔を覗き込んだ、蒼士。
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