志岐さんと夏目くん
「つーか悪いのは夏目の馬鹿だろっ!? それとそこに居るクソ女っ!! お前らがあの日 来なけりゃ こんなことにはならなかったんだっ!!」
……ん?
あ、「クソ女」って私のことを言ってるのか。
急に目が合ったからビックリした。
ていうか、そもそも彼らが夏目くんに「会おう」と言ってなければ こんなことにはならなかったのでは……?
と、思った時。
「あのさぁ、俺のことを馬鹿だのなんだのと言うのは一向に構わないけど、志岐さんのことを悪く言うのはマジでやめてくれない?」
騒いでた男子二人の体が、ビクッと揺れる。
男子二人だけじゃない。
声の主 以外の全員だ。
ビックリするほどに冷たい声。
それを放ったのは……私のすぐ隣に居る夏目くんだ。
その声を聞いた全員の体が、まるで金縛りにでもあったかのように硬直していた。
と、思ったけど、
「おーい夏目ー。 イラッとするのはわかるが少し落ち着けー?」
そう言った小日向くんだけは、いつもと同じように笑っていた。