志岐さんと夏目くん
「怒る気持ちはわかるよ、うん。 あんな風に言われたら そりゃあブチギレるわな。 でもまぁ、今は落ち着けよ。 他校の生徒と喧嘩して停学なんてダセェから やめとけやめとけ」
普段と変わらない調子の小日向くん。
そんな小日向くんの視線が、男子二人へと向けられた。
「とりあえずキミらさ、ここに居る女子全員に謝りなよ」
「……は?」
「いやぁ、どう考えてもキミらが悪いっしょ」
……声の調子はいつもと同じなのに、なぜか とてつもない威圧感だ。
男子たちの居るところからは少し離れているけれど、小日向くんの言葉に二人がたじろぐのがわかった。
「キミらってさ、女性のことをなんだと思ってんの? 「黙って俺に従えっ!!」って、マジでそう思ってんの? ていうか、彼女たちに求めてるのは たったそれだけ?」
「……そ、それは……」
「なぁ、それって二次元でよくね? 自分の思い通りに相手を動かせる場所で思う存分やればいいんじゃないの? 俺 思うんだけどさぁ、三次元で全部 自分の思い通りに動く人間なんて居なくね? だから「黙って俺に従えっ!!」っつーのは、そもそも無理じゃね?」