志岐さんと夏目くん
「二人とも、あのね……私、実は二人に言いそびれてたことがあるの」
「えーなになに?」
「……一緒にカラオケに行った時、私と夏目くんって付き合ってなくてさ……ただのクラスメイトで、私は「彼女のフリ」をしてたんだ」
二人に あの日のことをきちんと話したい。
そして、本当に付き合うようになったことを しっかりと伝えたい。
そう思ったから、真っ直ぐに言う。
「でも私ねっ、あのあと夏目くんのことが好きになって……それで、今日、夏目くんも私のことを好きって言ってくれたの。 だから私たち、付き合うよ。 「彼女のフリ」じゃなくて、ちゃんと付き合うよ」
クラスメイトに話すよりも前に、目の前の二人に伝える。
どう思われるかわからなくて怖かったけど、でも……それでもやっぱり、ちゃんと伝えたかったんだ。
「……あの時、騙しててごめんね……」
罪悪感に押しつぶされそうで、目線が下がる。
そんな私に、二人は……、
「うそぉっ!? そうだったのっ!?」
「ぜんっぜん気づかなかったぁー!!」
……どちらもビックリしたような声を出し、その直後に、私の体に抱きついてきた。